形と色

デザインにおいては形と色についての理解が重要になるが、それを受け取る人間の視覚や心理の特性についても理解しておく必要がある。ここでは形と色の基礎特性について解説するとともに、それを人間がどのように把握していくのかについても説明する。

1、形の基礎特性

形に関しては様々な言葉がある。例えば外形は表面の形である。多くの者に共通する外形の特徴は型と呼ばれる。外形と状態を合わせたものが形状である。さらに形がその機能や役割との関係において考えられる時形態になる。

グラフィックデザインやウェブデザインでは人の視覚や心理などの特性と形の持つ基礎特性の関係を考慮することも大切となる。ページレイアウトや各種のマーク、図やチャートなどの表現にも形の基礎特性は様々に利用されている。

●図と地

形は視野の全体の中から特定の部分に注意が向けられ、注意が向けられた部分がその他の部分から区別された時に現れる。この時、ちゅいを向けている部分をず、その背景を地と呼ぶ。図と地は相対的な関係であり、固定したものであはない。図と地が容易に入れ替わるものを図と地の反転図形と呼ぶ。

視覚表現における多くのメッセージは図として形成される。したがってメッセージの部分は図として注意を向けられるように地である背景に対して色などのコントラストを持つようにデザインする。

  • まとまりの要因

図がいくつかの部分からなる時、つまり、いくつかの部分がまとまって図になる時にはまとまって図になりやすい要因がある。傾きが同じである四角形同士がまとまって見えやすい。これを類同と呼ぶ。8つの閉じた四角形に見えるように2つずつがまとまりやすい。これを閉合と呼ぶ。近接する四角形がまとまった3つの塊として見える。これを近接と呼ぶ。円、三角形、波線の重なりとして見え、形状は見えにくい。このようにそれぞれの線が連続して見えることを良い連続と呼ぶ。

図と時の境界に意識されるのが図の輪郭である。画面中央上部の黒い点群が、一度キリストの顔として見られると、もはやバラバラな点群としてみることができなくなってしまう。意味を持つ対象物として点群がまとまりやすい配置にはみるものの形の認知に重要な手がかりとなる輪郭部分やその中でも特に鋭角になる部分に点群が配置されることなどが挙げられる。

  • 多義図形

一つの図形は視点を変えると別の図形に見えることがある、円柱を側面方向から見れば視覚に見えるし、底面方向から見れば縁に見える。しかし、「ウサギとカモ」は同じ視点からうさぎにも見えるし、かもにも見える。このようにある観点から意味付けながら図が見られること、特にその図の意味付けと観点が発見されながら図が見られる近くをアスペクト近くという。同一の図について「~~~として見えると同時に~~~としても見える」というように、異なる意味付けが行われる図形を多義図形と呼ぶ。このような場合には見る人の観点、つまり認知が視覚に強く反映する。

  • 明視距離

たくさんの野菜や果物としても見える多義図形である。男の横顔としての図に比べ、野菜や果物としての描写の方が細かいため、近くから見る場合には野菜や果物として見られやすく、野菜や果物としての描写がはっきり見えにくいくらい遠くから見る場合には男の横顔として、見られやすい。このような対象としてんの距離を明視距離と呼ぶ。

  • 錯視図形

ある図形は物理的な特性とは別に、人の刺客に固有な見え方をする。このような図形が錯視図形である。錯視図形には、形の長さや角度、大きさ、などに関係するものがある。

  • 奥行きの近く

人はいくつかの手がかりに基づいて奥行きや距離感を知覚する。古くから絵画の遠近法の中で奥行きの近くの原理が追求されてきた。同じ長さのものが近くにある時より遠くにある時の方が短く見える直線遠近法やある明るさの対比が小さく見える空気遠近法などがある。また、ギブソンは勾配の変化による奥行きの近くを指摘した。陰影が立体の近くに影響する例である。二次元のディスプレイモニタ上で仮想の三次元空間を表現する場合にもこれらの遠近法の原理が用いられる。

  • 運動の知覚

人の眼は動いているものを連続的に知覚しているのではない。人は断続的に知覚した像を補間しながらスムーズな動きになるように処理している。映像やアニメーションなどによる動きの表現もこのような人の近くの原理に基づいており、次々と静止画を高速に提示することでスムーズに動いているように知覚される。NTSC方式のビデオでは1秒間に約30フレームの静止画を提示し、映画では1秒間に24フレームの静止画を提示することで動きを知覚させている。

ビデオや映画ほど早くはないが、静止した複数の像を交互に提示して知覚する動きを仮現運動と呼ぶ。

2、色の基礎特性

デザインでは色の表現が重要になることはもちろんであるが、形の表現と同様に人の視覚や心理なども考慮する必要がある。また、加法混色や減法混色による色の表現方法、色の属性なども必須の知識である。

  • 色の知覚

人減の目で完治できる光を可視光ッセンという。可視光線は約380nm~780nmの波長の電磁波として表すことができる。色の近くは光源からの光とそれを反射するものの特性、そして人間の近くの特性の3つに関わりによっって決まる。例えば昼間の光のもとでは白く見えるものが赤い光のもとでは赤く見える。昼間の光の中では識別できる色が暗い光の中では識別できず周囲と同じ色に見えることもある。CDの裏側の場合、 色材は付いていないが微細な凹凸が光を反射させて虹色に見える。また、2-2-2の対比などの場合のように条件によっては同じ色でも常に同一の色として知覚されるとは限らない。

  • 色の順応と残効

暗い場所に入った時、初めは何も見えないのに、しばらくすると少しずつ様子が見えてくる。これは明るい観光から暗い環境に対応して、視覚機能が変化するために生じる。同じ事は急に明るい場所に入った時にも生じる。この新しい環境に慣れるために生じる視覚機能の変化を順応と呼ぶ。順応は色に対しても生じる。例えば鮮やかな赤を最初に見た時に比べ、時間が経過してからの見栄では鮮やかさが減少して感じられることがある。これを色順応という。

ある特定の色への順応が生じると無彩色の刺激に対してその色の逆の色味を持つ補色の近くが生じる。これが残効である、残こうは色ばかりでなく、動くものの近くなどでも生じる。

  • 色の対比と同化

人間の近くは大将と周囲の光や色の分布状態を総合してその対象を見ている。

左右の縁の色が背景の影響を受けて黒い背景に対してはより明るく、また白い背景に対してはより暗く見える。このようにある色の影響を受けてそれとは逆の方向の色に誘導されて見える現象が対比である。対比は明るさや色ばかりでなく、大きさなどでも生じる。動画の場合には、ある色がそれ以前に提示されていた色の影響を被ることがある。この場合を継時対比に対して同じ時間に起こる対比を同時対比という。対比とは異なり、影響を受ける色が影響を与える色と類似する色の方向に誘導されて見えるのがどうかである。

明るさの異なる部分との接触により起こる対比の例である。ここではより暗い部分に接するところはより明るく見え、反対により明るい部分に接するところはより暗く見える。その結果、隣同士の色の感覚や雑賀より大きく知覚される。この現象をマッハバンドと呼ぶ。

  • 混色と三原色

異なる色を混ぜると別の色になるが、このことを混色と呼ぶ。混色は主に加法混色と減法混色に区別される。加法混色は、照明やディスプレイモニタのように光を発する場合の混色で色を混ぜていくと次第に明るさが増し、白に近づいていく。一方、減法混色は色のついたフィルムを重ね合わせたり絵の具を混ぜる時の混色である。色材を重ねるごとに光の吸収成分が増えるので、色を混ぜていくと次第に暗い色になり黒に近づいていく。加法混色と減法混色では色の明るさが反対方向に変化するだけでなく、色味も変化する。例えば赤と緑を混色する場合、赤と緑の量にもよるが、加法混色では黄色になり、減法混色では黒に近い灰色になる。

加法混色と減法混色のいずれの場合でも3つの色からほとんどの色を作り出すことができ、コレを色の三色性とよぶ。混色では作ることのできない色を三原色といい、この三原色からはほとんどの色を混色によって作ることができる。加法混色の場合の三原色は赤、緑、青であり、減法混色の場合の三原色は、シアン、マゼンタ、イエローの粒子が見え、それぞれの混色の割合によって絵、様々な色を再現していることがわかる。多くの印刷物やプリンタではこの三原色の他に黒が使われることが多い。

加法混色と減法混色の三原色を示したそれぞれの図の中で中心の白と黒を挟んで体格に位置する色を補色とよぶ。赤とシアン、緑とマゼンタ、青とイエローがこれにあたる。これらの補色はそれぞれをある量で混色すると、色味のない無彩色になる。

  • 色の三属性と現れ方

色には共通する属性がある。赤と緑は色味が異なるように色はある色味を持つ。これを色相とよぬ。また、赤とピンクは色味は似ているが、明るさが異なるように色はある明るさをも持つ。これを明度とよぶ。そして鮮やかな赤と灰色に近い赤では色味の鮮やかさが異なるように色はある鮮やかさも持つ。コレを彩度とよぬ。色相、明度、彩度が色の三属性である。

描く色味ごとに最も鮮やかな色を円環状に並べたものが色相環である。

2-2-2で後述するマンセル表色系における色相環の例を示す。なお、最も明るい色は白、最も暗い色は黒になる。金や銀などは色の三属性という観点からは捉えることができない。空の青色と同じようなクレヨンの色を髪に塗っても済んで抜けていくような青空とは異なるし、ピーマンの表面の光沢は髪に塗った緑色とは異なるように見える。これらは色の三属性ではなく、色材が満たす表面や空間の状態、つまり色材が光を吸収したり反射するパターンの人の刺客における現れ方と関係している。

  • 表色系

一定の尺度や秩序に基づいてたような色を順序づけ、多様な色を順序づけ、表示したものが表色系である。

色の三属性に着目する表色系にはマンセル表色系などがある。マンセル表色系では、各色を三属性ごとの程度位応じて順序付ける。色相については赤、黄、緑、青、紫とその中間の黄赤、黄緑、青緑、青紫、赤紫などからなる色相環の中で表示する。また、色の三属性を3軸に対応させた3次元の立体として表示したものを色立体とよぶ。

三原色に着目する表色系にはCMY表色系、RGB表色系、CIE色度図などがある。CMY表色系では色のCMYのかくせいぶんをxyzじくにとり,xyz空間に各色を位置付けて表示する。原点はRGB成分を持たない黒になる。RGB成分がそれぞれ1の場合に白になり、白は黒である原点の対頂角に位置することになる。CMY表色系とRGB表色系は図式的に一つにまとめて表示することができる。

CIE色度図には色の三色性に基づきRGB成分の量で各色を表すCIE色度図やその座標を変換したCIExy色度図などがある。

  • 配色と色の利用

美術作品やデザインの中でよく用いられる配色のパターンを調べると幾つかの傾向があることがわかる。例えば何らかの属性が共通する色同士の配色、類似する色同士の配色、2色の感覚が曖昧でなく、明解な配色などが多く用いられ、また好まれる。このような事例に基づいて美的な配色を求める試みは色彩調和と呼ばれる。

色の使用についての重要な観点位視認性がある。ある色が遠くからでも検出されやすいとき、視認性が高いと言われる。一般的には木の背景に黒の配色は視認性が高く、この配色は工事現場の注意標識などに用いられている。

色は特別な感情や印象と結びつく場合がある。色による温度の印象がその例である、例えば青い色は涼しさや寒さと結びつき、赤い色は暖かさ、暑さと結びつくのでそれぞれ寒色、暖色と呼ばれる。また、色によって遠近感の印象が異なる場合がある。例えば赤い色は青い色より誓うにあるように感じられるので、それぞれを進出色、後退色と呼ぶことがある。進出色の特徴は、暖色系、高明度、高彩度であり、後退色の特徴は寒色系、底明度、底彩度である。また、色は社会や文化の中の約束事として用いられることがある。例えば交通標識に代表されるように、赤は危険を、黄色は注意を緑は安全を表すために使われる。この場合、色は文化的な規約、社会的な習慣として用いられている。